一般財団法人環境イノベーション情報機構
経済協力開発機構、農業の持続可能性の促進に向け政府支援の見直しが必要と報告
【環境行政 その他(環境行政)】 【掲載日】2025.11.17 【情報源】国際機関/2025.10.30 発表
経済協力開発機構(OECD)は、「農業政策モニタリング・評価報告書2025年版」(注1)を公表した。これによると、各国は農業の強靭化に取り組むなか、持続可能な農業を促進する手段として貿易協定を活用することが増えている。
しかし、食料安全保障を強化しつつ環境負荷を低減するには、農業支援のあり方を見直し、公的資金を研究やイノベーション、持続可能な生産手法に充てる必要もある。
2022〜2024年の農業支援総額は年間平均8,420億ドルと、2015〜2019年の平均より20%増加しているが、現状では、市場を歪めやすい補助金が支援総額の約半分を占めている。
一方、生産性や持続可能性の目標の達成に不可欠な公的投資は低水準のままである(注2)。
OECDは、効率的で持続可能かつ強靭な農業と食料安全保障の両立に向けた政策課題として以下を挙げている。
・市場を歪めやすい支援の改革や段階的廃止
・イノベーションと持続可能な生産性向上への投資拡大
・備えやリスク管理体制を整えた幅広い強靭化策の促進
・開かれた貿易と課題(注3)への対処を踏まえた環境対策
(注1)世界の農業付加価値の75%を占めている54ヶ国を対象に、政府の農業支援策をまとめている。
(注2)特に、世界の農業・食品バリューチェーンの強靭化に資する農業知識イノベーションシステム(AKIS)への投資額は、農業生産額に対する比率でみると2000〜2002年の0.92%から、2022〜2024年には0.54%に低下している。
(注3)OECDが提起している3つの課題:食料安全保障と栄養の確保、農業・食品部門従事者の生計維持、環境的な持続可能性の向上
【経済協力開発機構】