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環境ニュース[国内]

黄砂問題検討会が報告書公表

大気環境 大気汚染】 【掲載日】2005.09.28 【情報源】環境省/2005.09.28 発表

 2002年12月に環境省が(社)海外環境協力センター(OECC)の中に設置した「黄砂問題検討会」(座長:岩坂泰信・金沢大学教授)による報告書が05年9月28日までにまとまった。
 この報告書は、(1)黄砂問題の背景と現状、(2)黄砂現象の科学的解明の必要性、(3)対策と評価、(4)国際連携による黄砂問題への取組み−−の4項目について国内外の状況をまとめたもの。
 (1)については、近年、日中韓の3か国で黄砂観測日数が増加傾向にあり、日本でも浮遊粒子状物質による大気汚染、視程障害、洗濯物や車両の汚れ、農業関係被害の増加が懸念されていることを報告。また黄砂は、酸性雨を中和する可能性がある一方で、大気汚染物質を吸着、移送しているとの指摘を掲載した。
(2)については、黄砂発生地域や黄砂移送ルートでの大気・地表・植生・人間活動などに関するモニタリングデータや、黄砂の物理的性状(粒径分布など)や化学的性状(鉱物組成、付着した大気汚染物質など)のモニタリングデータ収集の必要性を指摘したほか、(3)としては発生源地域・影響地域での対症療法的対策や予報・警報など短期的な対策と、発生源地域の植生保全など長期的対策のそれぞれについて地域の優先度を踏まえて判断し、計画的に進める必要があるとした。
 さらに(4)については、ADB−GEF黄砂対策プロジェクト(注1)の成果に基づき、モニタリングや発生源対策を実施する必要があるとし、特に、最新の観測機器を使ったモニタリングネットワークの中で観測データの共有も行うソフト面でのネットワーク化が重要であるとしている。
 なお、これらの課題を踏まえた当面の取組み内容としては、日本国内での行政と研究機関の意見交換促進、ADB−GEF黄砂対策プロジェクトのネットワークを活用した情報交換・合意形成の維持などが指摘されている。
 環境省は今後、この報告書の提言内容に沿って、国内外での黄砂モニタリングネットワークの確立・運営や、モニタリングデータ活用方法について検討に取組んでいく方針。

(注1)国連環境計画(UNEP)、国連アジア太平洋経済社会委員会(UNESCAP)、国連砂漠化対処条約事務局(UNCCD)、アジア開発銀行(ADB)と中・モンゴル・韓・日が共同で、地球環境ファシリティー(GEF)とADBの資金を活用し、黄砂対策関連情報の収集評価や黄砂対策マスタープラン作りに取り組んだプロジェクト。03年7月から開始され、提言レポート「北東アジアにおける黄砂の防止と抑制に関する地域協力のためのマスタープラン」が05年3月にまとまった。 【環境省】

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