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環境問題にチャレンジするトップリーダーの方々との、ホットな話題についてのインタビューコーナーです。

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環境問題にチャレンジするトップリーダーの方々との、ホットな話題についてのインタビューコーナーです。

目次
1971年の環境庁発足から45年、人でいえば45歳という最も働き盛りのこの時期に相応しい環境行政を押し進め、国民の期待に応えたい
最優先課題である東日本大震災からの復旧・復興
しばらく中断していたG7環境大臣会合が、COP21の成功を受けて久しぶりに再開
【1】Bq/s(ベクレル/キログラム)
 放射能を表す単位で、放射性物質が1秒間に崩壊する原子の個数を指す。放射性セシウム(セシウム134、137)の食品衛生法(平成24年4月1日施行)における基準値は、飲料水で10Bq/s、一般食品で100Bq/sなど。
【2】美しい星への行動2.0(Actions for Cool Earth: ACE 2.0)
 2015年12月に日本政府が表明した、途上国支援とイノベーションからなる2つの貢献を指す。途上国支援としては、2020年に官民合わせて約1兆3000億円、現在の1.3倍とし、地熱発電、都市、防災インフラなどの日本の得意分野で貢献を行う。イノベーションとしては、革新的エネルギー・環境技術の開発強化に向け、「エネルギー・環境イノベーション戦略」を策定し、2国間クレジット制度(JCM)などを通じ優れた低炭素技術の普及を推進する。
【3】環境金融
 環境負荷を低減させる事業などに資金が直接使われる投融資と、企業行動に環境への配慮を組み込もうとする経済主体を評価・支援することで、このような取組を促す投融資。
【4】G7環境大臣会合
 今年5月15−16日に富山市で開催が予定されており、日本以外の参加国はイタリア、カナダ、フランス、アメリカ、イギリス、ドイツ、EU。

No.049

Issued: 2016.01.22

第49回 関荘一郎環境事務次官に聞く、2016年の環境行政の展望[1]

実施日時:平成28年1月6日(水)13:30〜
聞き手:一般財団法人環境イノベーション情報機構 理事長 大塚柳太郎

1971年の環境庁発足から45年、人でいえば45歳という最も働き盛りのこの時期に相応しい環境行政を押し進め、国民の期待に応えたい

関 荘一郎(せき・そういちろう)さん
関 荘一郎(せき・そういちろう)さん
環境事務次官。大分県出身。
1978年(昭53年)東大工卒。環境庁入庁。2012年環境省地球環境局長、2014年地球環境審議官を経て、2015年7月より現職。

大塚理事長(以下、大塚)― 2016年の年頭にあたり、環境行政の責任者である関荘一郎環境事務次官からお話を伺うことになりました。大変お忙しいなか、エコチャレンジャーにお出ましいただきありがとうございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
 本年も環境にかかわる重要な課題が数多くございますが、それぞれについてお伺いする前に、本年の環境行政の基本方針、あるいは環境省としての意気込みなどについて、お話しいただきたいと思います。

関次官― ご指摘いただいたように、環境省は大変多くの課題を抱えておりますが、振り返りますと前身の環境庁が発足したのが1971年ですので、今年が45年目にあたります。人でいえば45歳という最も働き盛りになったともいえますので、それに相応しい環境行政を押し進め国民の期待に応えたいと、このように考えております。
 課題は多々ありますが、中でも大きなものは今年3月で丸5年が経過する東日本大震災であり、これからの5年間は復興・創生期間として被災地の自立に繋がるよう、国として全力で取り組んでいく必要があります。環境省といたしましても、引きつづき福島の復興を最優先課題と認識しており、除染と中間貯蔵施設の整備、指定廃棄物の処理などに全力で取り組んでまいります。
 もう1つの大きな課題である地球温暖化対策につきましては、昨年12月のCOP21でパリ協定が採択されました。この協定は2020年以降、すべての国が参加する国際的な枠組みであり、日本にとっては悲願の国際ルールが採択されたことになります。今年は地球温暖化問題の解決に向け、世界が新たなスタートを切る重要な年になると感じております。


最優先課題である東日本大震災からの復旧・復興

大塚― 関さんが最優先課題としてあげられた、東日本大震災からの復旧・復興に関しもう少しお伺いいたします。今年3月に5年目の節目を迎えること、平成28年度に除染実施計画が完了予定であることなどを踏まえ、現在の状況をどのように捉えておられるのでしょうか。

関次官― 福島の皆さまが帰還されるのに、もっとも重要な政策の1つが除染だと考えております。除染実施計画に基づき、平成28年度中に居住制限区域の除染を終えることが閣議決定されております。現在、環境省が取り組んでおります11市町村の除染については、そのうち4町村で除染が終了し、3町村で宅地除染が終了しています。ほかの4市町では現在除染作業中ですが、なんとか来年度中にすべての地域で除染が終了できるよう、2万人に近い作業員により作業を進めているところです。

大塚― 予定通り進めていただきたいと思います。一方、難しい問題も多い放射性廃棄物の取り扱いについてですが、国が責任をもつことになっている放射性セシウムの処分について、現状と今後の見通しをご説明ください。

関次官― 法律に基づき、8000Bq/s【1】を超える放射性廃棄物を指定廃棄物と呼んでいますが、ご承知のとおり、指定廃棄物は福島県と周辺5県で大量に発生し、その処理が重要な課題になっております。福島県につきましては、昨年12月に既存の管理型処分場の活用を地元のご英断で受け入れていただき、これが今後の福島の復興に向けた大きなきっかけになると大変感謝しております。引きつづき安全安心の確保に万全を尽くしつつ、地域住民の皆さまのご不安やご懸念を解消できるよう努めてまいりたいと考えております。
 ほかの5県につきましては、各県に1カ所ずつ災害にも耐えうるしっかりとした施設を造り、そこに指定廃棄物を集約し管理するのが環境省の方針です。これまで、各県の地元からご理解をいただけるよう丁寧な説明に努めてまいったつもりでおりますが、調査候補地や一時保管をしていただいている自治体から厳しいお声をいただくこともありました。今後も地元の皆さまがたに誠意をもってご説明し、ご理解いただけるよう努めたいと考えております。

大塚― もう1つ気になっているのは、放射線による健康影響です。影響が現れるまでに長時間かかることも考えられ、住民の方々は大変心配されておられます。この点についても、お考えを聞かせていただければと思います。

関次官― 住民の皆さまの健康にかかわる安全と安心の確保は、震災からの復旧・復興の重要な柱の1つと考えております。環境省は、福島県が県民の中長期的な健康管理のために実施しておられる県民健康調査に、財政的・技術的な支援を行うとともに、調査に携わる人材育成への支援も行っています。また、住民の方々との接点が多い保健師や教師の方々を対象に、健康不安に対する正確な情報を伝えるための研修会を開催するなど、リスクコミュニケーション事業も推進しております。加えて、昨年2月のことですが、原発事故に伴う住民の健康管理のあり方に関する専門家会議の中間報告を取りまとめていただき、この取りまとめを踏まえた環境省の当面の政策を策定したところです。今後とも、県民の皆さまのご不安の解消に向け必要な対策を講じていきたいと、このように考えております。

しばらく中断していたG7環境大臣会合が、COP21の成功を受けて久しぶりに再開

大塚― 話題を変えさせていただきます。最初にもご指摘のあった地球温暖化対策が、グローバルにみた最大の課題であろうと思います。COP21を踏まえ、日本政府および環境省の方針をお聞かせください。

関次官― COP21が成功裏に終了したことを受け、昨年末の12月22日に、総理を本部長とする地球温暖化対策推進本部の会合が開かれ、パリ協定を踏まえた地球温暖化対策の取り組み方針をとりまとめたところです。主要な点は3つあります。
 第1は国内における対策で、この春までに法律に基づく地球温暖化対策計画を策定することになりました。第2は政府が自ら率先して進めるための政府実行計画で、同じくこの春までに策定することになりました。第3は国民の皆さまも一丸となり温暖化対策を一層強化していただくことで、「国民運動」と名づけています。
 加えて、地球温暖化対策で重要な途上国支援と技術開発のイノベーションを目指し、「ACE2.0(エース2.0)」という略称で呼ばれる「美しい星への行動2.0」【2】を推進し、日本の国際社会への貢献を高めていく方針が確認されております。

パリで開催されたCOP21(会場の様子)
パリで開催されたCOP21(会場の様子)

COP21においてステートメントを行う丸川環境大臣
COP21においてステートメントを行う丸川環境大臣


大塚― 大きな枠組みについてお話しいただきましたが、具体的な質問をさせてください。たとえば、業務・家庭部門でのCO2排出量の40パーセント削減という目標は、野心的で実現には大きな努力が必要と感じますが、どのように達成していこうとお考えでしょうか。

関次官― 日本はCO2排出量を、2030年までに2013年に比べ26パーセント削減すると、昨年7月に国際公約いたしました。この目標をつくったとき、各分野での対策により、削減量をどれだけ積み上げられるかを決めており、ご指摘のように、家庭部門と業務部門は約4割の削減が必要になります。家庭・業務部門への主なエネルギーの供給側である電力については、政府が決めたエネルギーミックスの電源構成の実現が対策の中心になります。一方の需要側については、技術開発とも関連し、エネルギー効率が高くCO2排出量が少ない機器をいかに普及させていくかが重要になります。このことが、政府内における環境省の温暖化対策の主な役割になっています。
 このため環境省では、来年度の予算編成でも重点化をしています。第1は、省エネ・再エネ利用を面的な拡張を含めて最大限に促進していくことです。第2は、先進的な技術の実証導入を支援することにより、技術の水平展開を推進することです。第3は、環境金融【3】の活用や先ほど申し上げた「国民運動」をつうじた普及の促進です。CO2排出量の40パーセント削減はもちろん簡単ではありませんが、これらの方針に基づき、2030年に向け着実に進めていきたいと考えております。

大塚― 広がりをもった「国民運動」の推進は不可欠と思います。舵取りをよろしくお願いいたします。
 ところで、今年は日本で大きな国際会議が数多く予定されており、5月には富山市でG7環境大臣会合が開催されます。この会議はCOP21以降の最初の大きな国際会議になるわけで、日本のプレゼンスを高める絶好の機会になると思います。

関次官― G7環境大臣会合【4】は、実はしばらく中断しておりました。久しぶりの再開となったのは、COP21の成功を受け、G7の国々が環境問題に対しもう一度結束し前進しようという気運が高まったもので、私どもはきわめて重要な会議になると捉えております。具体的なアジェンダの詳細はこれから詰めていくところですが、地球温暖化対策はもちろん、世界が直面している大きな環境問題にできる限り具体的な方向性を打ち出していければと考えております。また、開催地の富山市は優れた環境の試みや街づくりを行っている都市であり、日本の先進的な取り組みを世界に発信する場にしたいと考えております。


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