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環境問題にチャレンジするトップリーダーの方々との、ホットな話題についてのインタビューコーナーです。

目次
世界の海に漂うマイクロプラスチックの総量は27万トンにのぼる
最も効果的で重要なのは、流通と消費のパターンを変えていくこと
残留性のある物質については、多少不便でも環境中に残らないようにすることが大事
【8】磯辺篤彦(いそべあつひこ)
 海洋物理学者で、九州大学応用力学研究所教授(東アジア海洋大気環境研究センター 海洋力学分野)。陸棚・沿岸域における海洋漂流・漂着ゴミなどを研究する。

No.052

Issued: 2016.04.22

第52回 東京農工大学農学部環境資源科学科・高田秀重教授に聞く、マイクロプラスチックによる海洋汚染の実態と対策[2]

実施日時:平成28年3月30日(水)10:30〜
聞き手:一般財団法人環境イノベーション情報機構 理事長 大塚柳太郎

世界の海に漂うマイクロプラスチックの総量は27万トンにのぼる

大塚―  ところで、太平洋にゴミベルトが存在すると言われるなど、世界の海に浮かぶゴミの量には場所による違いが大きいのですか。

高田さん―  世界の海のプラスチックの空間分布は、この5年くらいにかなり明らかになってきました。多くの研究者が、海洋に浮いているマイクロプラスチックについて研究し、世界の海に漂うマイクロプラスチックの総量が27万トンにのぼることを明らかにしてきたのです。
 ゴミは一様に分布しているわけではありません。地図に示すと、世界に5か所、プラスチックなどのゴミが高密度に漂っている海域が見られます。北太平洋、南太平洋、北大西洋、南大西洋、そしてインド洋です。外洋にゴミが多く溜まるのは驚きですね。ゴミが集まる原因は、大きな渦のように流れる海流の真ん中は、流れと風が弱くものが溜まりやすいためです。これらの海域は、Gyre(渦流)と呼ばれており、プランクトンも高密度にみられるのです。

大塚―  5か所は、似たような緯度にあるのですね。それ以外にも、地図上に色が濃いところが見られますね。

高田さん―  ユーラシア大陸の南側に、プラスチックが高密度で浮いているところが広がっています。日本周辺を含むアジアの沿岸、あるいは地中海や黒海沿岸ですが、これらの地域は人口密度が高く、人間活動の影響を強く受けていると考えられます。
 九州大学の磯辺先生【8】が行った環境省の委託研究によると、日本周辺の海水中のマイクロプラスチック濃度は世界平均の27倍にもなります。日本自体に発生源もあるでしょうし、先ほど紹介したメコン河流域のようなゴミの大発生源から、海流に乗って日本周辺に運ばれてくる可能性も懸念されているのです。

27万トンのプラスチックが世界の海を漂っている。
27万トンのプラスチックが世界の海を漂っている。


最も効果的で重要なのは、流通と消費のパターンを変えていくこと

大塚―  マイクロプラスチックをはじめ、ゴミの海洋汚染の深刻さがよくわかります。少し話題を変え、マイクロプラスチックによる影響の軽減策について、高田さんの考えをお聞かせください。

高田さん―  僕が最も根本的な解決策であり有効と考えているのは、日常生活の中でプラスチックをなるべく使わないようにすることです。そのために、代替品や代替技術の開発も急務と考えています。たとえば、レジ袋を耐水性の紙からつくることはかなり効果的で、その開発を東京農工大学でもはじめようとしています。また、微生物によるプラスチックの分解性についても研究を進めることが必要です。生分解性プラスチックの製作については、技術的にはかなりのところまできていますが、コストがまだまだ高いことがネックになっています。
 しかし最初に申し上げたように、最も効果的で重要なのは、流通と消費のパターンを変えていくことです。3Rの重要性が指摘されていますが、中でも大事なのがリデュース(Reduce)です。プラスチックを含め使用量と廃棄量を削減することが、何といっても大事だと思います。

残留性のある物質については、多少不便でも環境中に残らないようにすることが大事

大塚―  先端的な研究をつづけておられる高田さんから、3R、とくにリデュースを進める必要性のご指摘をいただきました。この点ともかかわるかと思いますが、最後に、EICネットをご覧になっている皆さまに、高田さんからのメッセージをお願いいたします。

高田さん―  ほかの環境問題とも共通しますが、私たちがあまりにも利便性だけを追求すると、環境への負荷がかかりすぎてしまいます。とくに残留性のある物質については、多少不便でも環境中に残らないようにすることが大事だと考えています。
 アメリカの先住民の言葉に、「我々(人)は子孫から大地を借りて生きている」という言葉があります。まさに僕らは、地球という惑星を借りて生きているわけです。返す時には、あるいは、受け渡す時には、きれいな状態で返すのがふつうの考え方だと思います。人から物を借り、毒ではないので汚れていてもよいよねといって返す人はいないでしょう。
 マイクロプラスチックの問題も、ほかの残留性の化学物質も、もたらす影響がすべて分かっているわけではなく、本当に有害かどうか分からない面もありますが、残留性のあるものが残ってしまうと、もし後で影響があると分かった時には手遅れなのです。僕らが、残留性のあるものを地球上に残さないようにすることが、次世代にこの地球を受け継いでいくために必要なのです。今日お話ししたプラスチックは1つの例で、ほかにも残留性のある化学物質は数多くあります。それらの化学物質を本当に使わなければいけないのか、代替品はないのか、ということを真剣に考えていただきたいのです。

大塚―  本日は、マイクロプラスチックを中心としながらも、環境問題の原点ともいえるお話をいただきました。どうもありがとうございました。

東京農工大学農学部環境資源科学科教授の高田秀重さん(右)と、一般財団法人環境イノベーション情報機構理事長の大塚柳太郎(左)。
東京農工大学農学部環境資源科学科教授の高田秀重さん(右)と、一般財団法人環境イノベーション情報機構理事長の大塚柳太郎(左)。


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