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環境問題にチャレンジするトップリーダーの方々との、ホットな話題についてのインタビューコーナーです。

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エコチャレンジャー

環境問題にチャレンジするトップリーダーの方々との、ホットな話題についてのインタビューコーナーです。

目次
一昨年の後半くらいから、世界は大きく動いている
グローバルな課題とともに、東日本大震災からの復興に向けた取組みが大きな課題
国が直轄で行う面的な除染は、今まさに最終段階に入っている
2030年の目標を確実に実現するという、将来につながる見通しをもった政策を進めたい
【1】SDGs(Sustainable Development Goals: 持続可能な開発目標)
 2015年9月に、国連の全加盟国(193カ国)により採択された「我々の世界を変革する─持続可能な開発のための2030アジェンダ」。より良き将来を実現するために今後15年をかけて、極度の貧困、不平等・不正義をなくし地球環境を守るため、17の個別目標とより詳細な169項目の達成基準が設けられている。
【2】カーボンプライシング(炭素価格制度)
 炭素に価格をつけ、地球温暖化に悪影響を及ぼす炭素(CO2などの温室効果ガス)の排出に見合うコストを負担させ、炭素排出が少ないと競争力が高くなるように誘導する経済の仕組み。具体的には、炭素税や排出量取引制度、クリーン開発メカニズム(CDM)や二国間クレジット、法律や条令の直接規制による削減義務などを活用する。
【3】「気候変動適応情報プラットフォーム」
 平成27年11月27日に閣議決定された「気候変動の影響への適応計画」に基づき、環境省が関係府省庁と連携し、気候リスク情報の提供を通じて地方公共団体や事業者などの取組みを促進する基盤として、平成28年8月29日に国立環境研究所に設置したポータルサイト(→ http://www.adaptation-platform.nies.go.jp/ )。

No.061

Issued: 2017.01.20

第61回 小林正明環境事務次官に聞く、2017年の環境行政の展望[1]

実施日時:平成29年1月11日(水)17:00〜
聞き手:一般財団法人環境イノベーション情報機構 理事長 大塚柳太郎

一昨年の後半くらいから、世界は大きく動いている

小林正明(こばやしまさあき)さん
小林正明(こばやしまさあき)さん
長野県出身。
長野県立松本深志高等学校、東京大学法学部卒業、1979年(昭54)旧環境庁に入庁。
2014年総合環境政策局長。2015年地球環境審議官などを経て2016年6月から現職。

大塚理事長(以下、大塚)―  明けましておめでとうございます。
年頭にあたり、環境行政の責任者の小林正明環境事務次官からお話を伺うことになりました。大変お忙しいなか、エコチャレンジャーにお出ましいただきありがとうございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
本年も環境にかかわる重要な課題が数多くございますが、個々の課題についてお伺いする前に、環境省としての本年の環境行政の基本方針あるいは意気込みということからお話しいただけますでしょうか。

小林次官―  環境省としては、東日本大震災からの復興に向けた取組みが今年も大変重要な課題ですが、今年にかける意気込みということを踏まえ、グローバルな視野に立った環境を巡る状況からお話しさせていただきます。
一昨年の後半くらいから、世界は大きく動いております。「持続可能な開発目標」であるSDGs【1】という大変壮大な計画に、世界が取組むことになりましたし、パリ協定が一昨年のCOP21で採択されてから予想をはるかに上回るスピードで批准に至ったわけです。一方で、アメリカの新政権や韓国の政治的な混乱などもあり、世の中が非常にダイナミックに動いています。そのような中で、環境省としては、我が国が目指すミッションでもあるのですが、経済・社会・環境の3つの軸を統合する形で仕事を進めたいと考えております。SDGsが目指していることと同じと言ってもいいかと思います。環境省ですので環境に関わる事項にしっかり取組むのは当然ですが、経済との好循環、社会の課題への環境からの応答など、従来よりも幅広い視野を大切にしながら取組んでいきたい、というのが大きな方針でございます。


グローバルな課題とともに、東日本大震災からの復興に向けた取組みが大きな課題

大塚―  素晴らしいと思います。今おっしゃった、経済・社会・環境の統合の好例の1つが、東日本大震災からの復興とも感じました。震災から6年が経ち、「復興・創生期」という言葉も使われるようになり、新たなステージに入ってきているように思います。環境省では、放射性物質の汚染への対策、中間貯蔵施設の整備などを一元的に担う「環境再生・資源循環局」(仮称)という局をつくる構想があるとも伺っています。今年の計画あるいは抱負をお願いたします。

小林次官―  最初に述べましたように、地球温暖化やSDGsなどのグローバルな課題とともに、環境省にとっては、東日本大震災からの復興に向けた取組みが大きな課題です。この3月で6年経過することになり、本格的な復興に向かうステージに入りますので、年度の切り替えを含む今年は非常に重要になると思っております。これまでも努力してまいったつもりでおりますが、従来は「除染」と「除染物を集約しておく中間貯蔵施設」、「放射性廃棄物の処理」を、いわばトロイカ体制のように行ってまいりました。これからは、組織的にも一元化し中間貯蔵を中心に有機的に連携をする中で、今まで努力してきたことが本当に復興に結実することを目指してまいります。
新たにつくられる局のミッションになるかと思いますが、復興が進む中で出てくるであろう新たな課題も前向きに受け止め、地域が復興に向けて大きく歩みを進めていくことをサポートしたいと考えています。言い換えますと、中間貯蔵施設の整備、フォローアップの除染、さらには保管されている汚染された物の安全な保管・安全な輸送をしっかり進めてまいります。

国が直轄で行う面的な除染は、今まさに最終段階に入っている

大塚―  お話しいただいた震災からの復興について、ブレークダウンしてお伺いします。まず除染ですが、国が直轄で行う面的な除染は、28年度末ですから、この3月が完了目標とされています。現状はいかがでしょうか。

小林次官―  国が直轄で行う面的な除染である、避難地域での除染の期限は、一度改定させていただき、今年度末に終える約束になっており、今まさに最終段階に入っています。除染は住民の方が帰還される大前提ですので、きっちりした形でかつ期限を守って終了させたいと考えております。また、市町村にやっていただいている分につきましても、足並みが揃うように応援させていただいております。市町村にはいろいろな事情があると思いますが、極力年度内に除染を終え、次のステージに進みたいと努力しているところでございます。

大塚―  もう1つの大きな課題の除染物等の中間貯蔵施設は、復興に際しもちろん必要不可欠なわけです。用地の取得や施設整備の状況などについてご説明ください。

小林次官―  除染が進んだ結果、除染物が地域に溜まっており、復興に向けてなるべく早く貯蔵施設に移す必要があります。中間貯蔵については、地元のご理解を得て、用地買収を進めさせていただいており、ようやく軌道に乗ってまいりました。地元に5カ年のロードマップをお示しし、順調に進んでおりますので、引き続き用地買収を進捗させ輸送の本格化を目指します。今までは保管場に運び込むことが主だったのですが、本格的な施設の建設にも着手しております。施設整備が進むと、輸送量が増えるのは間違いありません。そのような状況になっても、皆さまに安心していただけるよう、安全な形で輸送を拡大できるよう計画を練っております。

大塚―  もう1つお伺いします。放射性セシウムについては、8000Bq/sを超えると指定廃棄物として国が処分することになっています。環境省は昨年10月に指定廃棄物の放射性濃度の再測定を栃木県で実施し、今後の対応方針などを示されたのですが、現状はいかがでしょうか。

小林次官―  この問題は、東北・関東の各県に及ぶ課題です。地域によって実情が違うこともあり、廃棄物を現場で安全に保管するという方針を決められたところもありますし、集約しての処分を進め、あるいは模索されているところもございます。そのため、それぞれのところとご相談して、各地域に一番合うような形で進めていきたいと考えています。現在のところ、それぞれの県でも議論が進んでおり、一定の進捗といいますか、お互いの理解が進みつつあるように感じております。

大塚―  大震災からの復興・創生の舵取りを、よろしくお願いいたします。

中間貯蔵施設のイメージ図(提供:環境省)
中間貯蔵施設のイメージ図(提供:環境省)


2030年の目標を確実に実現するという、将来につながる見通しをもった政策を進めたい

大塚―  グローバルな課題としては、小林さんが最初に触れられた地球温暖化のことが気になります。2030年度には13年度比で26%の二酸化炭素の排出削減、そのための再生可能エネルギーの大幅な拡大、省エネのさらなる推進など、取組むべきテーマが多くあるかと思います。環境省としての今年の基本方針をお願いいたします。

小林次官―  パリ協定がいよいよ発効いたしましたし、2030年度に二酸化炭素排出量を26%削減することは国際的に約束しており、着実に進める決意を固めています。さらに、2050年に8割削減、そして最終的には地球全体で二酸化炭素の排出をなくすという大きな目標があるわけで、2050年あるいはそれ以降に向けた長期ビジョンを幅広い視点に立って進めてきております。今年は、2030年の目標を確実に実現するという、将来につながる見通しをもった政策を進めたいと考えております。
モロッコのマラケシュで開かれたCOP22に参加された山本大臣からも、いくつかの具体的な指示を受けております。1つは、ステークホルダーとしっかり連携することで、幅広い経済界と対話すること、地方自治体および市民層との交流を強化することです。もう1つは、技術革新と社会的な制度とを結びつけることで、たとえば先進技術のアピールやカーボンプライシング【2】の議論の本格化を行う予定にしております。

大塚―  温暖化の問題については、小林さんからもご指摘いただきましたし、多くの研究者も指摘しているように、さまざまな対策を同時並行的に進めていく必要があるように感じています。

COP22で演説する山本公一環境大臣(写真提供:環境省)
COP22で演説する山本公一環境大臣(写真提供:環境省)

小林次官―  その通りです。温暖化を抑制するための技術、システム、それから国民の理解と意識改革など、多様なことが必要になっています。さらに、気候変動の影響が世界各地で顕在化してきていますので、温暖化を抑制するための「緩和」だけでなく、温暖化への「適応」の政策についても一段と強めていかなければならないと考えています。昨年から、そのための「気候変動適応情報プラットフォーム」【3】を国立環境研究所に設置いたしました。このプラットフォームは、他機関や自治体などとも連携して裾野を広げながら、脱炭素社会への対応を目指す車の両輪として機能させる計画です。


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