一般財団法人環境イノベーション情報機構

ヘルプ

サイトマップ

メールマガジン配信中

環境ニュース[国内]

大気汚染物質PAH、2〜4割がバイオマス起源 八王子市の大気中微小粒子分析で判明

大気環境 大気汚染】 【掲載日】2006.06.07 【情報源】国立環境研究所/2006.06.06 発表

 東京都八王子市の大気中に浮遊する微小粒子(粒径1.1ミクロンメートル以下の粒子)に含まれる大気汚染物質「多環芳香族炭化水素(PAH)」の2〜4割が、植物などバイオマスの燃焼によって発生したものであることが、東京薬科大学、(独)海洋研究開発機構、(独)国立環境研究所の研究者らによる共同研究で、2006年6月6日までに明らかになった。
 PAHはベンゼン環が2個以上縮合した構造を持つ化合物群の総称。化石燃料のほか、動植物に由来する物質など、あらゆる有機物が燃焼する過程で生成、大気中へ放出され、主要な大気汚染物質の1つとなっている。大気中には2環〜6環のPAHが検出されているが、このうちベンゾ[a]ピレンなどの4環以上の高分子PAHは特に、発ガン性、変異原性、内分泌撹乱作用など、人体に悪影響を与えることが知られている。
 今回の研究は、環境中のPAHについて、化石燃料には含まれないが、現代の植物が光合成によって生成した有機物には含まれる放射性炭素同位体「炭素14」を解析した結果、判明したもの。
 健康への影響がとくに懸念される大気中の微小粒子を対象に、含有PAHのもとになる物質の区別に成功した例は、今回の研究が世界初。
 なお、研究メンバーである国環研の柴田康行化学環境研究領域長らによると、バイオマス燃焼によるPAH生成割合が2〜4割と高かったことは、バイオマス由来の発生源にこれまで把握できていない部分が多いか、一か所あたりの排出係数が高い発生源があることを示しているという。
 未把握のバイオマス燃焼の発生源が何であるかは、国内での野焼きの燃焼量の定量化、大規模な森林・草原火災に伴う海外からの越境移動分の検討なども含めて、今後の研究で解明していく必要があるとされている。
 今回の成果は、米国化学会発行の雑誌”Environmental Science and Technology”誌の06年6月1日発行分に掲載されている。【国立環境研究所】

情報提供のお願い(企業・自治体の方へ)

記事に含まれる環境用語

プレスリリース

関連情報

関連リンク