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環境問題にチャレンジするトップリーダーの方々との、ホットな話題についてのインタビューコーナーです。

目次
捕獲された動物の肉の9割が捨てられている状況を解消することが必要
農家によるわな猟で獲れるのはウリ坊ばかりで、親イノシシを獲るには銃が必要
森の番人といわれる猟師が、自然とのバランスを保つことに貢献したい
【6】猟友会
日本の猟友会組織は、3階層から成っている。各狩猟者は一般に、地域(市町村など)にある狩猟愛好者団体(地元猟友会)の会員になり、地元猟友会は、一般社団法人の各都道府県猟友会の団体会員になり、都道府県猟友会は一般社団法人の大日本猟友会の団体会員になる。猟友会の目的は、野生鳥獣の保護、狩猟事故・違反の防止、狩猟者の共済事業の推進などとされる。
【7】猪鹿庁
岐阜県郡上市に活動拠点を置くNPO法人。メンバーは外部出身の若者が多く、狩猟の技術を磨き、プロの猟師として里山の生態系を保全し里山を最大限に資源化し、猟師の6次産業化を目指している。
【8】MATAGIプロジェクト
シカやイノシシなどの野生獣の皮を利活用することを主たる目的に、なめしを専門とする山口産業株式会社を中心に、2013年に開始されたプロジェクト。事務局は、一般財団法人地球・人間環境フォーラムに置かれている。なお、「マタギ」とは東北地方の山間部を中心に狩猟を行う者を指し、特に秋田県阿仁地方のマタギが有名である。
【9】ウリ坊
イノシシの赤ん坊で、 地方によって「うりん坊」「うりんこ」「うりっこ」ともよばれる。 イノシシの赤ん坊の背中に、ウリのような模様が見られることから名づけられた。

No.071

Issued: 2017.11.20

第71回 ジビエ利活用アドバイザーの長田富士子さんに聞く、ジビエの魅力・狩猟活動を通した人間と野生動物との関係・地域活性化の取り組み[2]

実施日時:平成29年10月26日(木)16:30〜
聞き手:一般財団法人環境イノベーション情報機構 理事長 大塚柳太郎

捕獲された動物の肉の9割が捨てられている状況を解消することが必要

大塚― 話題を少し変え、ジビエの利活用についてお伺いします。まず、農水省のジビエ利用拡大専門家チームについて、長田さんご自身の活動を含めご紹介ください。

長田さん― チーム全体の活動については農水省のホームページを見ていただくことにして、私自身のことについて簡単に紹介させていただきます。
私がこのチームに有識者としてよばれたのは、「官民一体型」の「民」の立場からです。多くの有識者の方々は、都道府県などの行政を代表されておられ、会議に出席されている政府の官房長官や農林水産大臣を含め、皆さんが顔見知りのようです。なお、女性は私1人だけです。
最初に出席した会議で、私は女性猟師であること、そして解体処理施設を経営し、飲食店でジビエを提供し、イノシシなどの革細工教室を営んでいることをお話ししましたが、それだけで割り当ての5分が過ぎてしまいました。会議後のPRの時に、申したいことを披露いたしました。

大塚― どのような点を強調されたのですか。

長田さん― 一言でいえば、国産ジビエを普及させることの重要性です。イノシシとシカが主なジビエですが、シカの林業被害が特にひどく、200億円の被害総額のほぼ7割がシカによるものとみています。また、捕獲された動物の肉の9割が捨てられている状況を解消する必要性を述べました。
私が知っている現場からの指摘もいたしました。多くのところで、さまざまなジビエ利用の取組みが展開されているのですが、困った例も多くあるからです。たとえば、ある県のことですが、ある百貨店に「うちのジビエのお肉を取り扱って下さい」とお願いしたところ、「いいですよ」との返事の後に、「それでは10トンお願いします」と言われたのです。私が知る限り、1つの解体処理施設で10トンも出荷するのは不可能です。

大塚― 改善の可能性はあるのですか。

長田さん― 農水省も改善策を考えておられ、厚労省のガイドラインに沿う複数の解体処理施設をシステム化し、それぞれのところで処理済みのお肉を集めてから、10トン単位で卸すことが始まりました。また、狩猟者からみると、本当に山奥で捕獲した時には解体処理施設に運ぶのは困難ですが、この状況に対処するため、ジビエカーともよばれる解体処理車が開発され導入されるようになりました。
これらは、今年4月の会議で決められ7月頃から動き始めています。

大塚― 少しずつでも改善されて何よりです。

農家によるわな猟で獲れるのはウリ坊ばかりで、親イノシシを獲るには銃が必要

大塚― ところで、長田さんに最も聞きたかったことですが、ジビエは美味しいですよね。美味しさをはじめ、ジビエの魅力についてお話しください。

長田さん― 美味しいです。ジビエを臭いなどと言う方もおられますが、それは処理が悪かったのでしょう。今は、調理の技術も非常に良くなっています。
私の役割は、ジビエのお肉を捨てないようにすることです。捨てずに、産業に活用し利益を生み出し、一方でエコにもつながるようにすることが、私の仕事だと思っています。もう1つ強調したいのは、ジビエは特に女性の身体にとっても良いことで、血液をサラサラにしますし、特にイノシシのお肉は鉄分も豊富で身体を温かくしてくれます。

大塚― そのようなジビエに対する日本人の認識、あるいはジビエとの距離感について、長田さんはどのように感じていますか。

長田さん― 確かに地域による違いもありますね。
最近、隣の岐阜県にある猪鹿庁【7】に招待していただき、全国の狩猟者や狩猟に興味をもつ人たちを集めた座談会などのイベントに参加し、北海道から沖縄まで、いろいろな地域の方々と情報交換ができました。その結果、私が特に関心をもつこと、たとえばジビエのお肉を本当に食べたいと思っているか、女性狩猟者が大切にされているかなど、どれをとっても県によって大きく異なっていました。
シカやイノシシの皮の利用についても、県によってまったく違うのです。現在、東京を中心にMATAGIプロジェクト【8】が動いており、その中心の革なめしを専門とする山口産業さんが、獲物を獲る猟師さん、革細工の職人さん、革製品を販売するバイヤーさんをつないでくれています。しかし、全国的にみると、革なめしをする企業がほとんどない状況なのです。

大塚― MATAGIプロジェクトが東京で進められているのは、消費者の多いことが関係しているかもしれませんが、野生動物を狩猟すること自体についてはいかがでしょう。

長田さん― 私からみると、ほとんどの県で、狩猟を生業としてではなく趣味として行う方が多いと思います。そういう方たちは、お金を稼ごうとしないので、獲物の肉を無償で飲食店にあげてしまうのです。そうすると、解体処理施設を造っても処理された肉を買う人がいなくなるわけです。そのような狩猟文化がないところで獣害が増え、慌て始めた自治体が多いのです。たとえば、獲物の捕獲に対する報奨金が、農水省による1頭につき8千円をはるかに超え、県によっては3万円のところもあるのです。その結果、狩猟免許をとる若者が増えたのも確かです。

大塚― 報奨金の額についてはいろいろな意見があろうかと思いますが、狩猟のプロを志向する若者が増えることは必要でしょう。

長田さん― 狩猟免許を取る人が増えると、イノシシがいなくなるのではないかと心配される方もいると聞いています。しかし、温暖化が進んでいるせいかもしれませんが、イノシシは着実に増えています。石川県でも、今まで棲んでいなかった能登半島にも侵入しましたし、今までは年に1回しか出産していなかったのが、2回出産するようになってきました。
能登半島では、大きな被害が出始めたので、農家の方がわな猟の免許を取り箱わなをかけることも増えています。しかし、技術をあまり必要としない箱わなを使う猟では、イノシシは賢いので、獲れるのがウリ坊【9】ばかりなのです。親イノシシを獲るには、銃を使う必要があります。また、農家の方がイノシシを箱わなで獲った場合、多くはお肉が捨てられるのです。私は、捕獲した獲物はすべて利用してほしいと願っているのです。
イノシシが年に2回出産するようになると、1回に4〜9頭が産まれますから、増加のスピードがますます上がります。それに対し、石川県で腕のたつ猟師の多くは60歳代です。銃を使える若い人たちが育たないと、イノシシやクマが間違いなく増えてしまうと思います。

森の番人といわれる猟師が、自然とのバランスを保つことに貢献したい

大塚― 10年先あるいは20年先を見据え、日本人と野生動物とはどのような関係になるといいとお考えですか。

長田さん― 人間と生き物たちとの関係というか、その境界については私もよく考えます。本当に理想的なのは共存共栄ですよね。人間が山をほったらかすと、動物にも棲みにくくなり、動物が便利で美味いものもある人里に下りてくると思います。山を守ることによって、動物が人間界に下りてこなくても大丈夫になるといいですね。
一方で、野生動物は絶滅する危険性もはらんでいます。本来、森の番人といわれる猟師は、野生動物を間引く役割も含め、自然とのバランスを保つことに貢献したいと考えています。

大塚― 最後になりますが、EICネットをご覧になっている皆さまに、長田さんからのメッセージをお願いしたいと思います。

長田さん― 繰り返しになりますが、皆さまにはジビエの利活用、特にお肉を捨てないくださいと申し上げたいと思います。
日本の人口を考えると、私の計算では1人が1年間に80グラムのジビエを食べてくだされば、9割ものお肉が捨てられている現状を変えられます。特に子どもたちに、現状では動物たちの命が無駄にされていることを教えていきたいと考えています。たとえば、スライスしたパックに入ったお肉だけを見て育つような子どもにしてはいけないのです。私たちが、現実をしっかり見据え、ジビエを食べることが命の尊厳を守ることにつながることを伝えたいのです。また、動物の皮も捨てずに有効活用できる人たちもたくさんいるので、これらの人たちを社会全体でサポートしてくださるようお願いしたいと思います。このような努力の積み重ねが、エコにつながっていくと信じています。

大塚― 長田さんが、人間と野生動物との関係を中心とする多様な活動を、いわば自然体で楽しそうに展開されている様子を伺うことができました。これからも、ますますご活躍いただきたいと思います。本日はどうもありがとうございました。

ジビエ利活用アドバイザーの長田富士子さん(左)と、一般財団法人環境イノベーション情報機構理事長の大塚柳太郎(右)。
ジビエ利活用アドバイザーの長田富士子さん(左)と、一般財団法人環境イノベーション情報機構理事長の大塚柳太郎(右)。


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